2006.04.25
『恋しくて』が恋しくて
私は小沢健二の大ファン。音楽が楽しい!と思った原点には小沢健二がいて、自分の偏愛すべてが小沢くんから始まっているような気がする。
小沢くんのシングルには名曲が多いが、残念ながらアルバムに収録されていない曲も多い。前に『刹那』というシングルコレクションのCDが発売されたが、それにも収録されていない私のもっとも好きな曲が、『恋しくて』。16cm紙シングルでしかもB面。1997年。
「幸せな時は 不思議な力に守られてるとも気づかずに
けど もう一回と願うならば それは複雑なあやとりのようで」
本当に、幸せな記憶をたどるとオレンジ色の光に包まれていて、でもそれはもう二度と起こらない。もう一度!と切に願っても、複雑なひとつひとつの小さな出来事や思いや奇跡が絡まってその瞬間が生まれたので、もう一度なんてありえないのだ。今ならよくわかる。
「いつもいつも君が恋しくて 泣きたくなるわけなんかないよ
思い出すたび なにか胸につっかえてるだけ
それで何か思っても もう伝えられないだけ baby!」
『恋しくて』を初めて聴いたとき、普通に座っていられなくて机に突っ伏したことを覚えている。切なくて胸が苦しい。音楽を聴いてそんな風になったのは初めてだった。それ以来では、高3の授業中に、片耳にウォークマンのイヤホンを突っ込んで、こっそりキセルの『ハナレバナレ』を聴いていた時くらいだ。授業中にそんなことしてちゃいけないんだけど、あの時も、同じように突然机に突っ伏したので、周りの人は何事かと思っただろう。
こういうのは、つまり、音楽を聴いて恋しい気持ちに恋するような気持ちになるのは、音楽の魔法のひとつだと思う。
「そんなことの全て 僕らが見た光
眩しすぎて生々しくて痛むよ とりあえず」
生々しいくらいの光。今は光は見えない。それは過去や未来にしか、いつも存在しないのかもしれない。そしてその光が暖かいものであればあるほど、遠い遠い過去や未来に。
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